Benrido Collotype Atelier KYOTO Report

 

Benrido Collotype Atelier KYOTO Report

 

プロジェクト開始は 2019の6月からでした。

海外事業部の河内タカ氏に声をかけていただき、京都で100年以上の歴史を持つcollotype印刷を手がけている便利堂さんでのプロジェクトに参加することになりました。

collotypeは19世紀フランスで発明された伝統的な顔料プリント技法で現在大規模にcollotypeを展開しているところは世界的に希少で特にカラーのコロタイプは便利堂さんだけでしかない技術とのことで、絶滅危惧種レベルの職人技です。

その技術の多くは国宝などの文化財の複製制作に活用されているといいます。顔料を使うことで得られる耐久性と優れた再現性、和紙への印刷による深みのある質感が特徴。一つ一つが手作業の伝統的職人技なのです。

 

Benrido collotype Atelier web site

 

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今回はタカ氏がおっしゃっていたように印刷プロセスを実際見ていただく事が重要とのことで、実際に京都の工房にお邪魔させていただき、体験し感じたことを自分の言葉でここに書ければいいなと思います。

 

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ネガ作り。複写用の大きなカメラ。壁の裏手が大きなファインダーになっている。4色のフィルターを使ってネガの濃淡を出していく。出来上がるネガはモノクロのネガ。

 

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カメラ内部。ピント合わせ。フィルムはバキュームで吸い密着させる。なるほどぉぉ。

 

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製版の現場。こちらがネガ。完成作品と同じ原寸でネガが作られる。現代はデジタル入稿であるためレタッチはPC上で可能ですが昔はネガに直接レタッチ(鉛筆)して濃淡の調整をしていたといいます。

 

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赤色用のコロタイプで印刷し紙にインクが乗った様子。ここで色の調子を見ながらネガを修正、補正していく。勉強になるなぁ。

 

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紙とインクの出力サンプル。たくさんある。国宝級の書物や絵、浮世絵などを複製する事が中心であるため現代の色味や風合いとは違う色の調合でしかでない色もある。この調合は職人さんのキャリアの賜物でしか通用しないテクニックですよね。すごいなぁ、しみじみ。。。

 

 

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刷版の現場。感光材とゼラチンを混ぜた液を塗ったガラス板とネガを密着露光しゼラチンに焼き付けする。(紫外線露光)

collotypeの語源は『コロ』はゼラチン、コラーゲンの意味を持つ。

 

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密着露光で転写中。

この機械は下面がガラスで露光の時にこのように機械ごと回転させガラスを上部に向けて露光します。この時にはネガがゼラチン板の上に乗ってる状態になります。ふむふむ。

 

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ガラス板に転写されたイメージ。うわぁぁ。。転写されてる。この刷版を水洗いして余分なゼラチン部分を落として乾燥機にかける。

 

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印刷現場。30年以上のキャリアを持つMaster Printerの山本さん。ゼラチン板に水をつけてゼラチンをふやかしていく、ここ神秘的!露光したゼラチン板にはネガの濃淡が凸凹で表現されているというのです。シャドー部は深い谷、ハイライト部は浅い谷となりその溝にインクが入ってイメージが表現されるとのこと。

なので印刷物は拡大ルーペで見ると網点ではなく、これ見た人しかわからないけれど、宇宙のような銀河のような光り輝く繊細で美しいテクスチャーなのです!!! 本当に美しい!

 

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印刷シーンは現在新作を刷っていらっしゃったので、ちょと割愛しますね、

 

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インクを練る場所。インクと油を混ぜながら濃度を調整していく。

 

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インクはコロタイプ用の特注。

 

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機械は全部で4台

 

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こちらの機械が一番大きな印刷ができる『ダックス/DAX』世界に一つ、稼働しているのは便利堂さんだけ。

 

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ダックスで印刷されたThomas Demandoの作品。

 

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今回私の頭上に吊り下げてありますコラージュ作品を担当してくださったオザキさん、20年選手のMaster Printerです。

本当にありがとうございました!

 

私の作品は今回モノクロではなくcolorのcollage作品(2014−2015制作)になります。A〜M の13枚の中から今回はA

とBを使用しました。

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和紙に印刷されているのですが、黒と緑の色の調和世界が美しい。なんか超不思議なんですが立体的に見えるんです、奥行き感半端ないというか、これは是非実物を見ていただきたいんですねぇ、はい。

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こちらは浮世絵とのミックスコラージュになります、オザキさん云く、こっちの方が色の出し方が難しく、特色を含めて8版使用したとのこと。CMYK+特色4色、これはあまりないケースらしく、浮世絵部分の色が特色でないと難しいとのことです。今回浮世絵と写真の異なるイメージの組み合わせも新しい挑戦になったとのことでした。

色の出し方、組み合わせ方、濃度は、これ本当に職人技が繰り広げられ、プリンターさんの得意とする部分やセンスに全てかかってくるという答えがあるようでない感覚の技であるんですね、なんだか驚くことばかりです。

 

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今回、本当に幸運にもこの世界的に貴重なコロタイプという伝統技法に出会い経験することができ上質の印刷物が完成し

大変光栄に思います。

 

私もcollotypeの名前は聞いたことがあったのですが、実物を見たこともなく、和紙に印刷した経験もありませんでしたので、最初はイメージが全く掴めない状態でした。私自身、プリントはGelatin Silver Barita printを自宅暗室で作るわけですが時代とともに印画紙の種類が減っていき、薬品等が使えなくなり、価格が高騰し、いろんな意味で印画紙の質感や色味や素材感を選択できない時代になりました、印画紙で遊ぶことや挑戦することのコスパがめっちゃ悪いわけです、萎えちゃうよね。そんな状況。

 

選択肢が少ない中で、プリントの質感をずっと悩んでいました。

もちろん展示+販売できるクオリティを提示しなければなりません。

安易にお手軽に作ったものでは、見る人が見ればすぐわかってしまうと思うんですよ。

蝋引きしてみたり、ビニールに転写してみたりとか、シルクスクリーンとか、こないだラムダプリントも挑戦してみましたが、なんか奥行きが薄かった、なんていうか軽かった、、とか。もうMediaごと変えちゃったりとか、悩んでいたわけです。質感。

そしてインスタレーションどまりかな、このクオリティだと、、という感じでした。

そのときに本当にいいタイミングでコロタイプのお話をいただき、興味津々でした。

 

新しい何かに出会う時のこの心が躍ること、心の高鳴りは、人生において本当に貴重です。

私の超リスペクトするREI KAWAKUBOの言葉にもありますが

「すでに見たものではなく、すでに繰り返されたことではなく、新しく発見すること、前に向かっていること、自由で心躍ること」

この言葉に少し近づいた気がしてとても満足しています。

声をかけてくださった河内タカさん、便利堂の職人の皆さん、本当にどうもありがとうございました!

このプリントは今年のPARIS PHOTO2019でリリースされます!

 

 

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ブログ見てくださった皆様、どもありがとう!長くなってすみいません。

 

Tokyo Rumando

 

 

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